生活情報の話

2012年 1月

 

 

助手:

博士、開けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

博士:

おめでとう。しかし、ついにタンザニア生活も最後となったな。

助手:

そうなんですね。来る前はアフリカということで覚悟していましたが、住めば都でした。

博士:

まあ、停電やら断水やら、大雨やら、いろんなことがあったが過ぎてみれば懐かしい。

助手:

年末には季節外れの大雨による大洪水がありましたね。

博士:

報道によれば57年ぶりの雨量とのことじゃったな。

助手:

いや、逆に、よくそんな58年前に記録をとっていたな、と関心しました。独立前ですものね。

博士:

死亡者も30人以上出ており、家が水没し、避難を余儀なくされた人も多かった。邦人宅でも1階が浸水して家財道具が浸かり、停電も起きたために引っ越しをした人もいる。

助手:

セレンダーブリッジが落ちたのも驚きましたね。ブリッジだけに端(はし)でしたが。お後がよろしいようで・・。 

博士:

って、終わるにはまだ早すぎる。確かにセレンダーブリッジで落ちたのは端っこの一部じゃった。しかし他にも多くの橋が落ちて、交通が分断された。幸い既にクリスマスシーズンに入っていたため、それほどの混乱はなかった。また今回は復旧作業も早いようじゃ。

助手:

作業を開始するのは早かったですが、できあがるのはいつになるのやら、という感じですが。それにしても当地は雨が降ると道路は池になりますから、本当にたいへんでした。

博士:

それでも、ずいぶんと道路もよくなった。スリップウェイの前もやっと舗装がされたな。

助手:

まあ、固めた土の上にアスファルトをぺらっと1回撒いただけですから、いい加減な舗装のようですが、それでも確かに通りやすくなりました。

博士:

都市中心部のみならず郊外への幹線道路もよくなっている。後はニューバガモヨ道路の完成が楽しみだ。

助手:

バガモヨまでの幹線道路はいつも混雑していますので、期待ですね。確かにこの3年で道路はよくなりましたが、電気事情は改善されていないですね。年明けには電気料が大幅に上がりましたしね。

博士:そうじゃな。特に昨年は停電が酷かった。じゃが、発電所への支援など日本も本格的に参入すると聞いており、これも今年に期待じゃな。
助手:レストランもずいぶん増えましたよね。3年前は中華レストラン位しかなかったですが、イタリアンやフレンチ、日本食レストランもできました。

博士:

確かに。元々フィッシュマーケットがあり魚介類は充実しておったが、加えてスーパーなどでも食材が増え、レストランも充実してきたのかもしれん。

助手:マサキに出来た日本食屋に行くと必ず日本人に会いますよ。
博士:と言う君も相当通っているようじゃな。

助手:

メニューも豊富でリーズナブルですから、毎日のように行っています。

博士:

それはよかったな。開店したという情報はあっという間に広がり、当日から大勢おしかけていたようじゃな。

助手:

ほんと、どこで聞いたんだろうと思います。日本人ばかりではなく西欧人、韓国人、タンザニア人などもよくみかけます。

博士:

こうしたレストラン情報、お店情報など、ダルエスサラームの生活情報は、日本人会婦人部が先月、ホームページで公開した。※

助手:

見ました。マイシャのHP版ですね。レストランのみならずショッピング、生活情報、医療情報など、たくさんの情報が載っているので驚きます。

博士:

もともと婦人部の人たちが冊子としてまとめ、数年に1回更新し、日本人を対象に販売していた情報がもとになっている。

助手:

冊子版はもう出ないのでしょうか。
博士:

印刷には結構お金がかかる。また、手間もたいへんじゃった。それで、昨今の流れもあり、ホームページとして公開されることになった。

助手:

本当に詳しい、かつ有用な情報源ですね。こうした世界各地の日本人向けの情報って、結構あるものなんですか?

博士:

ニューヨークやロンドンといった大都市では、情報誌として大手業者から販売されているケースがある。

助手:

そういう大都市であれば、商売になりますよね。具体的にはどんなものですか?

博士:ロンドンでは”ロンドン暮らしのハンドブック”※、米国では”どこどこ生活便利帳”※、などという名前で現地の本屋さんやネットで販売されている。。

助手:

”ニューヨーク便利帳”は私もお世話になりました。

博士:

うむ。ただ商売になるような地域はそれほど多くない。従って、他の地域ではコミュニティ紙や母親の会からの通信のような形でボランティアベースで販売、あるいは配布されているケースが多い。

助手:

そうでしょうね。世界各地、どこでも女性、特にお母さん達は苦労されているようですね。

博士:

うむ。海外に出て働いている本人は仕事だから仕方がない面がある。しかし同伴する配偶者には別の苦労がある。一番の心配は医療、子育て・教育の問題じゃ。日本のようなきめの細かい対応は海外では期待できない。そんな中で、情報を集めて、現地での苦労が減るように新しく来られる方に向けてアドバイスしている。

助手:

なるほどね。当地だとオムツも良いものがないし、粉ミルクやベビー用品など探すのがたいへんですよね。そして病気、教育・学校の問題もありますよね。

博士:

そうじゃ。こうした子育てをされているママさん達が集めた情報の一部は、各地で冊子やHPの形で公開されているケースは少なくない。
助手:

そういえば、インドネシアやニューヨークにもお母さんの会がありましたね。

博士:そう。覚えておるか? ジャカルタでは”マザーズクラブ”※、ニューヨークでは”すくすく会”※などが情報発信している。他、バンコクにも“バンコクすくすく会”、ロンドンには”なかよし会“※、オランダには”蘭蘭育児ネットワーク”※などがあり古くから活動しておる。
助手:いやー、ジャカルタの”マザーズクラブ”のホームページを少しのぞいてみましたが、歴史が古いだけにお母さん・お子さんにとって必要な情報満載ですね。また、他のどのホームページも手作り感いっぱいで好感が持てます。
博士:他にも、”ブルックリン子育て便利帳”※、”香港ママの便利帳”※、”アップルキッズ”※、”世界子育てネット”※などのホームページもある。
助手:
”世界子育てネット”なども情報充実していますね。米国、カナダ以外にも日本の情報も掲載されています。
博士:そうじゃな。永住組ではなく駐在の方々にとっては、現地での生活もそうだが、日本へ帰国した時の情報も必要だから、そうした情報も載せているのじゃろう。他に出産・子育てに特化したサイトとしてはノーラ・コーリさんのホームページ(Care the World)※も古くから知られておる。ノーラさんは最近でも世界各地を回られており、情報を日々更新している。
助手:"Care the World"には、へーっと思うような珍しい話がたくさん載っていて、出産・育児には関係のない私が読んでも面白いですね。また、”ブルックリン子育て便利帳”の「赤ちゃんを病院に連れて行きべきタイミング」など、日本の人にも参考になるような内容もありますね。
博士:そうだな。日本にいる人にとっても見ていて楽しい、ためになる情報も多い。
助手:日本の人にとっても有用ということですが、公的機関が提供している情報源はないのですか?
博士:日本では財団法人の母子衛生協会が”海外子育てインフォ”※というHPを公開している。関連団体として母子保健事業団※もあり、外国語併記の母子健康手帳などもネット販売している。
助手:母子手帳も海外で購入できるのですね。確か、知り合いが日本で住民票がないので自治体でもらえなかったと言っていたのを思い出しました。
博士:母子健康手帳については上記のサイトでの購入以外では、厚生労働省のページ※からPDF版をダウンロードすることも可能じゃ。他、母子保健の関係では、NPOとしてプロフェッショナルな活動をしているグループもある。先に紹介した”すくすく会”などの他にカナダの"MOM"※もりっぱなHPを持っている。

助手:

いやー、それにしても、そんな百花繚乱の中でも、ダルエスサラームのマイシャのホームページは健闘していますね。

博士:

商業ベースでない地域に根ざした情報を手軽に発信ができるようになったということでは、ネットの役割は大きい。そして、地域住民のみならず他の地域にいる人が、赴任前・渡航前にこういう情報を得られるという点はたいへん有意義じゃ。邦人数が少ない地域などでは、特に手間のかかる作業ではあると思うが、前述のHPなども参考にして是非トライしてみてほしいもんじゃな。

助手:

こうした情報が世界中にあって、それがどこにいても手に入れば、旅行・出張・赴任の際の不安は解消されますね。是非各地で作っていただきたいですね。

博士:

ジャムズネット東京のHP※でも、情報をまとめているようじゃ。本日紹介したHPは、Group With※さんなどから得た情報じゃが、まだまだ知られていないHPもあるかもしれん。是非、今回の話を読んで、他にもあるよと言う方は、当方まで教えてもらいたいものじゃな。

助手:

私も調べてみます。

博士:

昨年の震災後にも感じたが、こうした地域、あるいはコミュニティからの直接的発信、提言が、地域の復活、さらには日本全体の復興につながると信じておる。

助手:

そうですね。確かに、311を通じて、お上なり大手マスコミの情報を鵜呑みにしていたのではいけない、ということを学びましたね。

博士:

君も自立せんとな。

助手:

次回、読者の皆様とお会いできるまでには何とか独り立ちしたい、と思っているのですが・・・・。どこでお会いできるのでしょうね?

博士:

基本的に途上国勤務になった時にこの”博士と助手”シリーズは再開されておるようじゃから、当分先になるかもしれんな。

助手:

そうですか。それまでしばしの間、自分を耕すことに専念します。

博士:

なんだか持ってまわった言い回しだな。ひょっとすると、そろそろ”落ち”か?

助手:

ええ、今回が最後ですので、自分を耕すための”鍬入れ”、”鍬入り”、”クワイリ”ということで。

博士:

新年から厳しいしゃれだな。さようならのスワヒリ語、クワヘリにひっかけたわけか。全然、伝わらんな、てな。ツタワランナ、テナ・・・

助手:え? それって、ひょっとしてスワヒリ語のツタオナーナ・テナ。つまり”また会いましょう”ですか?

博士:

最後まで締まらない終わりだったようじゃが。読者の皆様、それではまたお会いするまでお元気で!!

 

マイシャ、ダルエスサラーム情報(タンザニア)

ロンドン暮らしのハンドブック

米国便利帳

ジャカルタマザーズクラブ(インドネシア)

ニューヨークすくすく会(米国)

バンコクすくすく会(タイ)

なかよし会(英国ロンドン)

蘭蘭育児ネットワーク(オランダ)

ブルックリン子育て便利帳(米国)

香港ママの便利帳(中国)

アップルキッズ(米国ニューヨーク)

世界子育てネット(米国、カナダ他)

Care the World(世界の出産・子育て情報)

海外子育てインフォ(母子衛生協会、海外邦人向けサイト)

母子衛生研究会

母子健康手帳様式・様式例の掲載(厚生労働省のHPより)

MOM(カナダ)

ジャムズネット日本(世界の医療・生活関連情報)

Group With

With Kids

 

 

 

 



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