ゴルフの話

2000年5月


助手:ゴルフは難しいですね。なかなかスコアがまとまらないです。
博士:毎週やっているようじゃが、なかなか上達せんな。練習もしておるんじゃろ。
助手:そうなんですよ。最近は打ちっ放しにもよく行っていて、練習場ではナイスショットの連発なんですけどね。
博士:コースに出ると今ひとつなんじゃな。
助手:ええ。まあ、確かに練習場はライも悪くありませんし、傾斜もないので、良いショットが出るのかもしれませんけど。コンペなど肝心な時にだめなんですよね。
博士:力が入りすぎじゃな。メンタルな面で問題があるんだろう、君の場合。
助手:ええ、精神的に弱いのかもしれません。すぐ、かっとなってしまうし。
博士:ゴルフは紳士のスポーツと言われているが、人間動物園と表した人もいる。
助手:人間動物園ですか?
博士:うむ。その人の人間性があからさまに出てしまう。攻撃的なオオカミとか臆病な羊とか。
助手:なるほどね。ベットしている時はなおさらかもしれませんね。1000ルピアでも負けると悔しいですからね。
博士:うむ。忍耐のスポーツとも言えるな。
助手:1番のティショットを打つ前は、今日はとんでもないスコア、70台とか出ちゃうんじゃないかって、思うんですよね。
博士:みんなそうじゃ。君なんか80台すら出した事ないのにな。
助手:でも、力が入って、いきなりチョロったりするんですよね。
博士:つらいな。でも、ゴルフは2打目が肝心だから。
助手:ええ、ですから、深いラフにあるのに無理してフェアウェーウッドを持ってしまい、案の定ボールが上がらず、数十ヤードをコロコロ。
博士:まあ、上がってなんぼ、のゲームじゃから。まだまだ。
助手:そうなんです。そこからでもスーパーショットが出て、グリーンに3オンすれば、うまくすれば1パットでパー、何て考えるんですが・・
博士:良いように考えとるが、なかなか現実はそうはいかん。結局トリプル叩いたのか。でもまだ1ホール目だから。
助手:そう。残り17ホールもあるし。今度はドライバーがナイスショット、したのに、方向が悪くてOB。
博士:それは、それは。
助手:それも、キャディさんがOBじゃない、って言うから行ってみたらOBで、そこから打ち直すから次は4打目で、もう頭にきちゃって。
博士:まあ、キャディさんのせいにしても仕方がない。
助手:悪い時は続くもんで、バンカーにもよくつかまったんですよ。
博士:でも、バンカーに入るのは、方向が良いから、って言う話もあるぞ。
助手:そう思って、まあ、きれいに出して1パットでカップに入れれば、砂一だし。何て思ってピンばかり見て打ったら・・
博士:トップして反対側のバンカーか?
助手:そうなんですよ。この間なんか、そのコースのバンカー4カ所、全てに入れた事ありましたからね。
博士:それは、ご苦労なこったな。コースの設計者もさぞ喜んだろう。
助手:ほんと、私はいつも設計者の思うつぼで、池があればマンディするし、谷があれば落とすし、
博士:木があれば当てるしか? まあ、ボールをとりに来る子供達に、寄付していると思えば。
助手:18ホールで18個なくした事ありましたからね。十分寄付してますよ。あったまにきて、途中でビール飲んだら、さらに悪くなって・・
博士:ゴルフ途中の酒はいかんな。日本だと後半ハーフの前に食事時間があって、よく酒を飲んでいる人を見かけるが感心できん。酒、ビールは脱水を補う水の代わりにはならない。むしろ、尿が出るから脱水を助長してしまう。ゴルフ中に心筋梗塞や脳梗塞で倒れるケースでは飲酒がからんでいる場合が多い。
助手:スポーツドリンクが良いんでしたよね。気をつけます。でも、ほんと調子悪くて。
博士:まあ、でも誰のせいでもない。ゴルフは常に自分一人の実力じゃ。
助手:それだけに頭に来るんですよね。わかってはいるんですけど怒りの持って行き場がなくて、キャディさんのせいにしたり、同伴競技者のせいにしたり、天候のせいにしたり、コースレイアウトのせいにしたり、ゴルフクラブのせいにしたり、仕事で疲れているせいにしたり。
博士:挙げ句の果てに、上司のせいにしたりしてな。
助手:でもボールに上司の顔を思い浮かべると、おもいっきりひっぱたけますね。
博士:週末になるとワシの顔が痛いような気がするのは、そのせいか?
助手:冗談ですよ。毎回はしてませんから。
博士:しかし、実際ゴルフというのは、メンタルなものじゃな。だいたい少しの時間の会話以外は、皆黙々と考えながら歩いている。今のショットは何故失敗したのかとか、次はどう打とうかとか。
助手:ええ。確かに、スコアの良い時は同伴競技者と楽しく話せるんですが、悪くなるとそんな余裕が全然なくなりますからね。
博士:周りも気を使って、話しかけにくくなる。
助手:恐い顔してますよね。キャディさんに、「オイ、8番って言っているだろう」、なんて怒鳴ったりして。
博士:マナーが悪いな。どんな時でも、えびす顔していないとな。人格が出るぞ。
助手:ハーフ終わった頃なんか、後は何を目標に回ろうかと、ぼーっとした状態になってしまうんですよね。完走する事に意義があるとか、って言われてマラソンランナーの心境ですね。もう途中で帰ろうかと思った事も1回や2回じゃないです。
博士:楽しくやらんとな。同伴競技者とも一期一会だし。
助手:そうですね。態度悪いと、もう誘ってもらえなくなりますよね。
博士:キャディを怒鳴りつけ、文句ばかり言って、他人のショットも見ずに、恐い顔してどんどん歩いて、クラブを投げたり地面に叩きつけたりするようでは、誰も一緒に遊んでもらえんようになる。
助手:?? あー、あー、それで、博士はゴルフしていないんですね、最近。
博士:失敬な。わしはそんなマナーは悪くない。ただ、あの時は、キャディがフックラインじゃと言うから、それに従ってきっちりパットしたのに、実際はスライスで、返しもはずして3パットになってしもうた。それをきっかけにティショットも乱れに乱れて、OBは出るは、木には当たるは、ロストはするは、大負けするは、だったのでイライラしてしまったんじゃ。
助手:ほー。博士もまだまだ精神的には・・・
博士:聞いてくれ。あの時はあのホールまでは絶好調で、あのパットさえはずさなければベストスコアが出る勢いで、「マイッタナ、優勝スピーチはどうしようかな」、と考えておったんじゃ、それが一転して・・・・
助手:ところで博士、今回の話の医療情報は何でしょう?
博士:え? ああ、ゴルフは汗もかくし、5-6キロ歩く事になるから体に良い。暑い国では、激しいスポーツよりも心拍数がそれほど増加しないタイプの運動がいい等、年輩者でもできる点でゴルフは最適じゃ。
助手:かっかして心拍数や血圧が上がる事もありそうですけどね。
博士:まあ、そんな事もあるかもしれんが、概ね楽しくやれば。でも、あれだな。あんまりキャディを信用してはいかんな。特に女性キャディは何にも見ておらんな。ボールと全然違う方向に歩いている事もあるしな。
助手:私なんか、まあ、かわいければ良いか、とか思っちゃいますけどね。
博士:いや、そんな事ではいかん。やはりキャディとしてしっかり仕事をしてもらわんと、それなりに払うわけじゃし・・・・
助手:読者の皆様、なんだか今回の話は、医療的にはあまり役に立たないような内容で申し訳ありませんが、それにしてもゴルフの同伴競技者は選んだ方がよさそうですね。
博士:いや、あれはキャディが悪い。わしはきっちり言われた通りボール2個分右へ打ったんじゃ。ところが、思いの外、芝が早いし・・・
助手:まだ言ってますね。普段温厚な人でもこれだけ熱くなるんだから、ゴルフは奥が深い。
博士:いや、ラフはそれほど深くなかった。問題はグリーンの芝で・・・

 


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